あれは 夏真っ盛りの頃。
栗の実はまだ青く
名産の梨はたわわに実り、収穫の時を待っていました。
その日、ワタシは大熊の実家に行っていました。
乳腺腫瘍の手術のため ヘンちゃん
を病院に連れて行くためでした。
嫌がるヘンちゃんを無事入院させて ワタシは何処かで遊んで帰ろうと
駅への道を
聞きながら歩いていました。
にメールが着てることにも気づかず。。。
乗って30分くらい経った頃、バッグの中で
が震えてます。
みると大熊からでした。
しかも 何度も何度も何度も かかってくるので いい加減出てみました。
小さな声で 「いま 電車に乗ってるんだけど
」
その後の大熊の声は 一生忘れないと思います。
すぐに次の駅で下りて 同じホームの反対側の電車に乗って 大熊の実家に戻りました。
その時 まだ自分でも 何が起きたのか、
今 これは現実なのか、
わからないまま急いで戻りました。
そこに あずきは横たわっていました。
さっき つい数時間前に しっぽをバシバシ振って
ワタシのことを大喜びで迎えてくれたあずき
そのしっぽが振られることはありませんでした。
あずきは2006年9月3日に生まれました。
その後 ペットショップでばぁちゃん(大熊母)に一目ぼれされて
大熊の実家の家族として迎えられました。
最初に抱っこしたのは おかみっちょん。
あずき という名前も その毛色と頭の形から ワタシがつけました。
その後はやんちゃを極め どーにもこーにもじゃじゃ馬娘で
ばぁちゃんをノイローゼ寸前に追い込みます。
しかし ドッグトレーナーさんのおかげで あずきもばぁちゃんも共に成長し
大熊のお散歩にも渋々いうことを聞くようになりました。
いろんな物を壊してはばぁちゃんに叱られ でもケロっとしてヘラヘラ。
ちょっと上目づかいでご機嫌を伺ったりして かわいい女の子に成長しました。
大熊とおかみっちょんのことは 大好きなお友達 と認識してたみたいです。
姪っ子はあずきのことが怖くて なかなか仲良しになれなかったけど
ある日 ワタシはあずきにこう言いました。
「あずき。あんたは頭がいい。おりこうさんなんだから
みなみ(姪っ子)のこと 面倒見てやってね。
あの子のいう事 聞いてやるのよ。
さぁ わかったら行きなさい。」
するとあずきはスルスル~ と姪っ子のトコに行き おとなしく撫でられていました。
あずきは ちゃんと理解できるコです。
でも とんでもなく無鉄砲なコでした。
あの日、ワタシが帰るとき、 じぃちゃん(大熊父)が駅まで
送ると言ったのだけど
じぃちゃんのことが苦手なワタシは 運動だから歩く といって
じぃちゃんの申し出を断わりました。
ばぁちゃんが家の門のとこでワタシを見送った ちょうどその頃
じぃちゃんは 同居の熊兄嫁が残していった洗濯物を干そうと
裏庭に出たところでした。
あずきは じぃちゃんが開けっぱなしにしていた柵から家の外に出てしまいました。
裏の家とは境がありません。
あずきは勝手に走り出しました。
裏の人が ここにいるよー と言ったけど
怖かったのか手を伸ばして捕まえることはしませんでした。
あずきはそのまま 通りに走っていってしまいました。
ばぁちゃんは 必死であずきを追いかけました。

すぐにあずきは病院に運ばれました。
さっき ヘンちゃんを連れてった病院です。
先生は出来る限りの手を尽くしてくれました。
ヘンちゃんの手術を先延ばしにすることを提案してくれましたが
ばぁちゃんは どちらも大切な家族なので といって 予定どうり手術をお願いしました。

あずきは静かにそこにいました。
わたしがようやく戻ってきて呼びかけても ちっとも喜んでくれませんでした。
しっぽも振ってくれませんでした。
ばぁちゃんがしきりにワタシに謝っています。
でも ワタシは謝られる覚えはないし、ばぁちゃんが謝ることじゃない と言いました。
じぃちゃんが泣きながら
運命だったんだ。かわいそうに。犬なんか飼わなきゃよかった。 と言ったので
げんこつで殴ろうかと本気で思いました。
しばらくして大熊が仕事を切り上げて飛んできました。
あずきを抱きしめました。 そして優しく撫でました。
あずきは じっとしていました。
今まで 大人しく撫でられることなんかなかったのに。。。
姪っ子が家に帰ってきたとき あずきはもういませんでした。
あずきの話しを聞いた姪っ子は その場で膝から崩れ落ちて泣いたそうです。
甥っ子はまだ3歳。 あずきと同い年。
でも 何かいつもと違う大変なことが起きた ということはわかったみたいで
じっとみんなを見つめていたそうです。
ばぁちゃんは姪っ子にも謝ったけど
姪っ子はそのまま 泣きながら寝たそうです。
その日の夜中、眠りが浅かったのでしょう、大熊とワタシは変わりばんこに目を覚まし
その度に 寝床の中でしくしくと泣きました。
あずきは 翌月 3歳になるところだったのです。
たった 3年たらずの一生でした。
次の日、じぃちゃんと ばぁちゃんと 甥っ子 姪っ子 熊兄嫁で
小さな箱に入ったあずきを引き取りに行きました。
それからも姪っ子は度々泣いて ばぁちゃんはほんとに辛かったと思います。
毎日小さな手が あずきにお線香を手向けています。
この話しを 記事にしようか迷いました。
ワタシは犬友のモモを6月に亡くしたばかりで 四十九日もまだだったし
飼主のK子ちゃんには 新しい家族(
)を迎えてほしかったので
このことで K子ちゃんが躊躇してはいけないと思ったのと、
ワタシがいつも癒されてる複数のブログの管理人さんが
やはり同じように家族を亡くされたり 明日をも知れぬ闘病のお世話をされてたので
張り詰めている気が萎えてはいけない と思って
今日までこの話は封印してきました。
この前、熊が あずきが夢に出てきた と言ったのを聞いて
涙がでそうになりました。
ワタシのとこには まだ会いに来てくれない。。。。。
でもそれからしばらくして、あずきが夢に出てきました。
実は K子ちゃんの夢にもモモが現れた と聞きました。
それで 記事にすることに決めました。
あずきが「いぬのくに」に帰った日は午後からものすごい雷雨
でした。
あぁ あずきったら あんなに高いトコに行っても 暴れまくってるわ・・・
ワタシはそう思いました。
今でもきっと 雲の間をぴょんぴょん跳ね回って
いぬのくにの神様に叱られてるかもしれません。
今日はあずきの百か日です。
百か日とは、故人への悲しみのために泣き暮らしていたのを泣きやむ日を意味し
悲しみに区切りをつける日 とされています。
これからは あずきとの楽しかったことだけを思い出すことにします。
あずき。 ありがとう。 ずっと大好きだよ。
また 会おうね。